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地球文化通信第8号(2000年4月号)
山東省臨沂師範学院で「日中文化交流会・講演会」

中国旅行〜臨沂・瑯邪――諸葛孔明を偲ぶ旅

 第4回NPO地球文化交流会ツアー「中国旅行〜臨沂・瑯邪――諸葛孔明を偲ぶ旅〜」が3月30日から5泊6日の日程で行われ、河野喜一理事長以下8人が参加、山東省臨沂師範学院にて「日中文化交流会・講演会」を行い、生徒らと親しく交わる一方、諸葛孔明の生誕の地である瑯邪を訪ねました。

 臨沂師範学院での「日中文化交流会・講演会」は、3月に板橋区立文化会館で行われた「国際文化公論会」のパネリストの一人、蒋衛東さんの父、蒋森さんが学院長を務めた縁もあり、実現しました。

 4月1日、一行は、「熱烈歓迎日本地球文化交流会来我校進行文化交流」との看板で迎えられました。謝副学院長、彭国際交流部長、李外事課長らの出迎えを受け、河野理事長は「地球文化交流会を作ったのは、世界中の民族を本当に理解したかったからです。そう思って会を作りましたが、自分の国のことがよくわからないと気が付きました。日本の国の民族のことを分かろうと心がけると、だんだん世界中の民族のことを理解できるようになりました。山は遠くから見た方がよく見えます。中国も、私どもが遠くから見た方がよくわかるかもしれません。今日は、遠くから見た中国の感想を生徒さんにお話ししたい」と挨拶しました。

 続いて約200人の学生が待つ講堂へ。河野理事長は、「沂川の水源、亀蒙山は天地を移すエネルギーを持つ水が生まれるところ。その水に育まれた臨沂の子供たちはこれからの中国を背負って立つでしょう」と語り、会場は拍手の渦に。また、「沂川を見ていて『青年よ大志を抱け』の『大志』は『太志』であることがわかりました。皆さん、宇宙をも抱くような大きな人間になってください」と、生徒らを激励しました。

 講演会後、河野理事長(範主)と河野容雄師範が美剣体道の演武を披露。また、会場から請われて、理事長はハーモニカで2曲吹きました。
 一方、学院生らによるピアノと横笛、中国民族楽器の胡弓(写真左)、唄吶と簫の演奏、太極拳などの演武が繰り広げられました。

 翌2日、一行は、臨沂から車で走ること1時間の瑯邪へ。王新国・沂南県副知事の出迎えを受け、地元のTV局カメラクルーも姿を見せ、諸葛孔明記念パークを見て回る一行の様子を追いました。河野理事長は「私は生まれてこの方、諸葛孔明が生まれたところに一度訪ねたいと思っていました。その思いがやっと果たされました」と、憧れの土地を訪ねた思いの丈を、こう語っていました。
 そのほか、一行は青島への帰途、中国の書聖、王羲之故居、道教の聖地でもあるロウ山などを見て回りました。

 ツアー期間中、昨年10月に訪ねた聊城師範学院の宋副学長ら3人が遠路わざわざ、一行に会うために駆けつけてくれ、5月の神戸での地球文化交流会発会一周年式典に出席することを約束してくれました。また、山東省薬膳協会会長の張偉氏がツアー全行程に同行、一行の案内役を務めてくれました。


 ■講演
太志を抱け!

 臨沂を訪ね、何をお話ししようか。料理は作ってからすぐ食べないと味が落ちます。私のお話は作りたてのお話です。

 昨日、沂川を初めて見ました。沂川の水は亀蒙山から流れると聞きました。沂川には沂川の河の神様がおりました。河の神様が臨沂の人たちを守ると思います。
 河の神様の力は、水源にあります。水源が亀蒙山です。

 さて、亀といいますと、日本には、中国から渡っきた亀卜があります。神庭桜の鋭利にした枝を火で焼いて、亀の甲羅の交差点に当て、ひびの入り方によって運勢を調べるのです。
 なぜ、占いのために亀の甲羅を使ったか? それは亀の甲羅は特別のエネルギーを持っているからです。
 どういうエネルギーか。それは、天と地の気を移すエネルギーです。

 また、亀蒙山の「蒙」は、水の気がそこから立ち上る様を言います。
 ですから、亀蒙山は、天地を移す水の力が、そこから生まれる山です。
 その水が沂川になっています。その水で育つ皆さんには天地の気が流れ込むはずです(拍手)。恐らく、中国全土でこれから栄えていくのは、臨沂の子供たちだと思います。

 私が子供の頃、「青年よ大志を抱け」と教えられました。私は「大志」というのは、これまでずっと「希望を大きくする」ことだと思ってきました。
 ところが、昨日、臨沂を流れる沂川を見ているうちに、その考えがとても小さいことだと知りました。
 本当の「大志」は「太志」だとわかったのです。
 太陽の「太」は、「全て」「全部」を表します。ですから「太志」は全ての心です。地球全部であり、宇宙全体の心です。「抱く」というのは、自分の中に全部入れることです。

 皆さんは、地球全部を、この中に入れて(胸を叩く)、宇宙全部を手に入れてください。

空白

メモ□

■諸葛孔明

 諸葛亮(181―234)。瑯邪陽都(山東省沂水県)の人。早く父を失い、兄の瑾は呉に、亮は荊州に赴いた。襄陽(湖北省)の西、隆中に住み、晴耕雨読、隆中吟を歌い自ら管仲、楽毅に比し、人からは臥竜と評された。劉備から三顧の礼をとって迎えられ、備に天下三分の計を説き、その親密なこと君臣水魚の交わりと称される。
 劉備が蜀を建てると、丞相に任じられ、人心の宥和と内政の一新にあたった。呉と同盟復活後、227年「出師表」を上って魏との戦いに北上。「臣亮言う。先帝業を創めいまだ半ばならざるに崩そしたまえり」に始まる表は古来「読みて泣かざるは忠臣にあらず」と表される名文。「泣いて馬謖を斬る」など数次にわたる北伐もついに成功せず234年没した。
(諸葛孔明の像の前で記念撮影)

■ロウ山

 青島市東90キロ、山全体が400平方キロに広がる、海に面した断崖絶壁に聳える標高1130キロの山。奇岩怪石の多い景勝地。古来より神仙の住むところとされ、道教の聖山として知られる。また泉水が豊富なことで知られ、青島ビールも元々はロウ山の水を使っていた。山のあちこちに宋代以降建てられた道教の寺院がある。(写真は書聖、王羲士の故居)