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地球文化通信第8号(2000年3月号)
「国際文化公論会――めざせ!地球文化人」を開催

在日外国人を交え、身近な国際交流について意見を交わす

 NPO地球文化交流会は3月25日午後、東京都板橋区立文化会館で、「国際文化公論会――めざせ!地球文化人」(後援・財団法人板橋区国際交流協会)を開催、約200人が参加しました。

 あいさつに立った河野喜一理事長は、「文化とは人間の華やぎであります。人間が振らなければ刀も単なる文化遺産にすぎません。日本人の皆さんが世界で華やぐためには、この国に生まれた人間一人として私はいったい何かと自覚する必要があります」と述べました。

 第一部の講演会ではまず、毎日新聞論説委員の松田喬和氏が「日本の政治の現状」と題して講演。松田氏は、「韓国、台湾で長期政権が崩壊し、日本も明治維新、戦後と続く試練の時期にある。朝日新聞の世論調査で坂本龍馬が理想のリーダーのトップに選ばれた。志半ばで倒れた彼に人気が集まる背景には、日本の方向性が明確でない現状から新たなものを創出するエネルギーが政治家に求められていた。現代の若い政治家は、英語を話し海外に出れば臆せず路地裏で地元の人の声に触れるなど国際人としての資質を備えてきているものの、その気迫に欠ける。危機管理に長けビジョンをうち立てられるリーダーの登場こそ求められる時代である」と語りました。

 また、インターネットプロバイダー業、MTCI会長の早川優氏が、「ネットワーク社会のベンチャー企業の行方」をテーマに講演。早川氏は、「いまはモノ社会から情報社会へコペルニクス的転回を見せる産業革命時代である」「キーワードはモノであるパソコンではなく、ネットワークにある。また、大きい器が今は不利となる材料となっている例がある」と見解を示し、「情報革命とボーダーレス化がもたらすグローバル化が進む中、ベンチャー企業のすそ野を広げないと未来はない。だが、日本は米国と違い、ベンチャー企業の裾野を増やす環境に乏しい。直接金融のシステムを使い、環境、ウェルネス(福祉・シルバー)、農業などのベンチャーを支援していきたい」と述べました。

 続く第二部では、中国、韓国、イタリア国籍の在日外国人が登壇。
 それぞれの来日目的、在留して感じることなどを披瀝。レストランをプロデュースするイタリア人のマウロさんは「いい人も悪い人もどこの国にもいるという感覚は必要。日本人も、心を開いて恐れず外国人と接すれば国際人として活躍できるフレンドリーな面を持っています。政治、ビジネスも大切でますが、やはり一番は人とのコミュニケーション、心のつながりではないでしょうか」と語りました。

 また、韓国伝統音楽プロデューサーの羅鐘權氏は、「日本人がどう、韓国人がどうというのではなく、まずそういった枠をなくして、つきあいを始めることが大切」と述べました。会場の女性は、「パネラーの蒋衛東さんが日本に友達がいるから日本に来た、と語っていましたが、国際交流も、大上段に難しく考えるのではなく友達づきあいでいいじゃないか」といった意見が出ました。

 最後に河野理事長は、「私は世界各地に行く際、外国人という意識はなく、兄弟・親戚のような感覚で接してきました。人間同士が取引を始めると民族意識が表面化するので、世界の人と真実の友になるのは難しい」と、公論会を締めくくりました。